公園であいましょう
(23)
写真集 ”Primary" の 完成記念パーティ。
ホテルの一室を借り切った会場は、写真集の売れ行きがよいこと
も反映してか、明るい喧噪に満ちている。
モデルなんて仕事をしているが、もともと俺は、
華やかな場はあまり得意じゃない。
だから、積極的に人の会話の輪には加わらず、
着飾った人たちの、よく動く口をみていたら
「あ、いたいた。やっと逢えた。」
と、モデルのショーコが近づいてきた。
「逢いたかったよ〜 翔太。」
そう言って、俺の腕に細い自分の腕を絡ませてくる。
強い香水の匂いが立ち上った。
「ねえ、いっしょの仕事が終わっても、逢いたいって
ショーコ言ったの、忘れちゃった?」
「忙しかったから、、、。」
「素っ気ないんだから、、逢えなくてもメールのやりとりぐらい
出来るでしょ。」
「悪い、俺、あんまりメールとかマメにする方じゃ
ないんだ。」
「う〜ん、もう!」
ショーコは、軽く俺を打つマネをして、ますます体を寄せてくる。
体の線にそった、まっ赤なタイトドレスが誘惑的だ。
ドレスの赤い色を見ていたら、追いかけた車のテールランプ
を思い出して、俺はぐるりと首をまわして、会場のどこかにいる
岩間さんを探した。