公園であいましょう

   「翔太、ちゃんとショーコのこと見てよ。」



 ショーコの腕が俺の首に絡むのを、はずそうと
 下げた目線を上げたところで、
 俺は、こちらを見ている岩間さんと目があった。

 女に絡みつかれている俺を見て、岩間さんがふっと笑う。


  (くそっ)

 
 なんだか、その笑いがカンにさわる。

 イライラし、睨みつけるように見る俺の視線を外し
 岩間さんは促されて、壇上にあがった。

 

 インタビューが始まるようだ。

 壇上の後ろのスクリーンに、写真集の画が、
 一枚一枚、映し出される。



 スクリーンに映る自分の姿を見て、俺は不思議な気持ちになっていた。


 あそこにうつっているのは、たしかに俺だけど、自分ではない誰か、
 のようにも感じる。

 写真に写る男は、揺るぎない自分の顔をちゃんと持っている。

 でも、実際の自分は、、自分の感情に振り回されっぱなしだ。


  (あそこに写っているのは、すごく俺に似た誰か、、、)



   「ねえ、岩間さんといえばさ、恋人が出来たんじゃないかって
    噂、知ってる?」



 相変わらず、俺にべったりくっついたまま、ショーコがそう話しはじめた。



   「女嫌いで有名な岩間さんがさ、
    スタッフを全員帰してまで、スタジオで逢ってる女がいるって。」
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