公園であいましょう
(27)

 何回か俺の部屋を訪れるうちに、委員長の顔にも
 自然な笑顔がうかぶようになった。



 季節も春をむかえ、暖かくなってきたので、たまには
 外でも出逢う。

 それにほんのたまにだけど、夜、一緒に食事にも行くようになった。

 できれば、一日デートもしてみたいけど、
 俺が井倉翔太だとバレる可能性も高いし、まだ実現できていない。

 一日、俺の部屋で過ごすのも、俺的には有りだけど、
 委員長にとっては、ハードルが高すぎるらしく、
 こちらも実現できていない。

 まあ、ここまできたんだ。
 委員長が自然とそういう気持ちになるまで
 ゆっくりいこう、、、とは思っているが、、、

 俺の気持ちも察してほしいと、最近は思う。


 そんなことを考えながら、ちらりとキッチンにたつ委員長を見る。

 最近彼女は、時々、昼食を手作りして持ってきてくれて
 いっしょに食べる。

 仕事柄、食事も不規則だし、手作りの食事は
 まじにうれしい。

 キッチンを見ながら、にやけていたら、リビングに置いた
 委員長の携帯が鳴りはじめた。

 キッチンまで届けようと、手を伸ばし、映し出された差出人
 の文字を見て、手が止まった。

 
  (岩間、崇、、、)

 
 とっさに、クッションで押さえて、
 着信音が委員長に聞こえないようにしてた。

 (なんだよ、まだ、連絡を取り合ってたのか、、、)

 そう思ったら、胸の奥がざわざわして、
 鳴り止んだ携帯をクッションの下からとりだして
 ぎゅっと握った。

 着信履歴を消したい、、
 
 でも、さすがに勝手に携帯をいじる事はできなくて

 俺は、携帯の上にばさりと雑誌をかぶせ
 視界に入らないようにすると、
 キッチンにたつ委員長のところへ、歩いて行った。

 
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