公園であいましょう

 気まずい沈黙が、二人の間にひろがった。



 「岩間さんから、携帯に電話があったよ。」



 言わない方がいいと思っているくせに、黙っていられなくなって
 俺は、着信があったことを委員長に告げた。



 「連絡、とりあってるんだ。逢ったりもしているの?」


 だまれ、とやっぱり心のどこかで声がする。
 なのに、俺の口から言葉が勝手にとびだす。



   「岩間さんはイギリスに行ってて、ずっと逢ってないよ。」



 てんで悪びれる風もなく、岩間さんの近況を口にした
 委員長に腹がたって、意地悪な言い方になった。


 
   「よく知ってるんだね。」

   「だって、撮影のことがちゃんときまってないから。」

   「撮影って、、、まだ撮るつもりなの?」

   「撮るか、撮らないか、まだ決めてない。」


 
 気に入らないと思っていた気持ちが、委員長の答えをきいて
 はっきりとした怒りになった。



   「決めてないんだ、撮りたいとも思ってるんだ。」

   「撮りたいって強く思ってるんじゃないけど、
    岩間さんのカメラの前にたつ自分も、
    本当の自分なんだな、、って思えてきたの。」

   「どういうこと?」

   「地味で目立たない自分が本当の自分なんだけど
    別人のようになって、カメラの前にいると
    また、別の自分が現れてくるというか、、、

    実は自分の中にいつもとは違う自分がいて、
    それが、岩間さんのカメラと岩間さんの言葉で
    出てくる、、というか、解放されるというか、、、、。」
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