公園であいましょう
(28)
キィー バタン
玄関の扉がしまる音が聞こえたけど、私は動くことができなかった。
(なに、 なにが起こったの?)
わかるのは、佐倉くんを怒らせたということ、
佐倉君が出て行ってしまったということ。
そして、それから10日がたったけど、佐倉くんからの連絡は
ひとつもない。
私の方から、一度連絡を入れたけど、つながることはなく、
また、佐倉くんが、かけなおしてくることもなかった。
ケンカしたことなんて、なかった。
それにこんなふうに、佐倉くんと連絡がとれなくなることも、、、。
だから、佐倉くんが電話にでなかったことは、
わたしには、とてもショックで、、、。
それ以後は、とても自分から連絡する気になれないでいた。
図書室のカウンターの椅子に腰をおろして、ため息をおとす。
「はい、これあげる!」
目の前に、小さなアメのつつみがちょこんと置かれた。
「なんだか元気ないわよ、郁ちゃん。」
田辺さんが、カウンターの向こうから、
こちらを覗き込むようにして、立っていた。