手の平だけは、私のために【完】
「うっわ、やべえ、緊張する」
「……ちょ、なに……!?」
「弥生から勇気吸収する」
へらっと笑った雄星は、ぎゅっと力強くあたしの手の平を握る。
あったかくて、ドキドキして、意味もなく感動して、心臓がきゅってなった。
「――し、っしっかりね、雄星」
「おう!」
「ち、ちゃんと気持ち全部伝えて来てね……!」
「サンキュ、弥生」
繋がれていた手はどちらからともなく離れて、雄星はあたしの髪の毛ををまたぐしゃぐしゃにして撫でる。
涙が無意識のうちに一粒だけぽろっと落ちたけれど、雄星は気付いてないみたいに無邪気に笑った。
「弥生のおかげで勇気でた」
「うん、よかった」
「次はお前、告白する時は俺呼べよな、勇気やるから」
「……うん」
「手の平ぎゅってしてやるから。お前専用に勇気、溜めといてやるよ」
右手をひらひら振って言った雄星に、今度こそ涙腺が崩壊しそうになる。