手の平だけは、私のために【完】





「うっわ、やべえ、緊張する」


「……ちょ、なに……!?」


「弥生から勇気吸収する」




へらっと笑った雄星は、ぎゅっと力強くあたしの手の平を握る。


あったかくて、ドキドキして、意味もなく感動して、心臓がきゅってなった。




「――し、っしっかりね、雄星」


「おう!」


「ち、ちゃんと気持ち全部伝えて来てね……!」


「サンキュ、弥生」




繋がれていた手はどちらからともなく離れて、雄星はあたしの髪の毛ををまたぐしゃぐしゃにして撫でる。


涙が無意識のうちに一粒だけぽろっと落ちたけれど、雄星は気付いてないみたいに無邪気に笑った。




「弥生のおかげで勇気でた」


「うん、よかった」


「次はお前、告白する時は俺呼べよな、勇気やるから」


「……うん」


「手の平ぎゅってしてやるから。お前専用に勇気、溜めといてやるよ」




右手をひらひら振って言った雄星に、今度こそ涙腺が崩壊しそうになる。



< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop