月だけが見ていた
に、とイタズラっぽい笑顔を見せて
目の前の男の子は、私と目を合わせた。


瞬きさえ忘れて 呆然と見つめ返す。



「うそ……何で?」

「ん?」

「だって司くんは…」

「…あぁ。」


短いため息を吐いて
それでも何でもない事のように彼は言う。


「ーーー 死んだよ。10年前に」

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