月だけが見ていた
「二見さーん!セクハラですよっ」

若い男の部下の言葉で、オフィス内に一斉に笑いが起きた。


「だーめですって、5つも6つも下の女の子口説いちゃ。」

「うるせぇ。」


横目でチラリと確認すると
上原はさっさと自分の席についてパソコンに向かっていた。

きゅっと口を結んで、平静を装ってはいるが
その両耳は真っ赤に染まっている。



「…ふ、」



彼女の意外な一面を見て、俺は小さく吹き出した。



……やっぱ可愛いわ。

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