月だけが見ていた
薄暗い病室に足を踏み入れると
ピッ、ピッ、という心電図の音が耳に飛び込んできた。


一定の間隔で送られる酸素。

細いチューブで繋がれた先に
葉子は、眠っていた。

頭に白い包帯が巻かれている。



「……」



こんなちっぽけな機械に支えられてるのか
今の葉子は。


さっきまで、俺の隣にいたってのに。
< 33 / 84 >

この作品をシェア

pagetop