月だけが見ていた
二見修治 2
「ん……」
薄く開いた目に飛び込んできた世界は、真っ白だった。
「あれ、俺…?」
顔を上げた先には
心電図と点滴の管。
ーーー あぁそうだ
ここは病室だ。
ベッドの隣に置かれたイスに腰かけて、葉子の顔を眺めているうち
いつの間にか、突っ伏して眠ってしまったらしい。
窓の外はようやく白み始めている。
「……葉子?」
葉子の左頬に一筋の涙が流れていることに、ふと気がついた。
「……」
思わず 手をあてた
その時
「、っ!?」
心電図から鳴り響いた甲高い音に
俺は思わずびくっと体を強ばらせた。
それが葉子の体の異常を知らせるものだということは、すぐにわかった。
「だ、誰か来てくれ!」
ナースコールを握りしめて叫ぶ。
「葉子が…!」
飛び込んできた看護師によって、俺は病室の外へ追い出された。
「葉子…」
嘘だろ 頼むよ
助けてくれよ
聞こえてんだろ?
神様