甘い恋愛なんて知らない


そうして、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。


「じゃ、そろそろ帰るな?」


「うん。いつもありがとう。」


「おう。じゃあな。」



そう言って輝が出ていったあとの病室は、広くて、静かに感じる。

まるで、世界中の音が消えたみたいな。


「寂しいな。」

一人呟く。

でも、その独り言に答えてくれる人はいない。


そんな自分自身を嘲笑うかのように微笑を漏らすと、輝の顔が浮かび上がる。

ポツリ

涙が出る。

輝が笑顔を思い浮かべると、胸が締め付けられる。


私は


「輝の事が好き。」


< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop