泣き虫イミテーション
<光成 一緒に勉強しよー>
<二衣 君とだと捗らないから>
<光成 まあまあ、そんないけず
いわないでさ、おいでよ
カモンщ(゜▽゜щ)カモン>
<二衣 (イラッ>
<光成 え、来ないと行くよ?>
<二衣 30分で行く>
「すごいね、まだ22分しかたってないよ。そんなに俺が君の家行くの嫌かな。」
「ミツに一刻も早く会いたかっただけだよ」
「二衣ちゃん本当に俺のこと好きだね」
「「嘘だけど」」
日曜日の朝。勉強部屋で二人並んでノートを広げた。二衣の入れた珈琲からはまだ湯気が立ち上っている。
光成は左利きなため肘がぶつかることもなく、隣で自分以外もやっているとやる気がでた。集中するのにもさほど時間はかからない。二衣は課題のプリントをもくもくとこなしていく。
しかし光成の集中はそんなに長くはもたなかった。始めてから一時間ばかりたつと提出課題が終わってしまい、二衣のようにノートをまとめている訳でもない光成は教科書をパラパラめくるだけになり、それにも飽きると二衣を邪魔しはじめた。
二衣は課題をノートに一度やり、二度目にプリントそのものを解く。数をこなせば自然身に付いていくものだと考えているからだ。必然的に光成の倍以上の時間を要する。
「ん…邪魔しない、で」
しかし、内腿を撫でる光成の手によって集中を削がれていた。
「君、本当に下らないセクハラ好きだな」
「飽きちゃったんだもの」
「私はまだ勉強してるの!」
「休憩しよう」
そういうと二衣にキッと睨まれる。しかし光成がなだめるように頭を撫でると、不服そうな顔のまま勉強に戻ろうとした。
わずかな変化を感じた光成は、シャーペンに伸ばされた二衣の手をつかむ。手が冷たいのはいつも通りだったが、光成の手に反応がいつもと全く違った。
触れた瞬間、凪ぎ払うみたいに光成の手をふりはらったのだ。
「…二衣さん?」
「ぁ………」
二衣の初めて見せる反応に光成は驚く。そして二衣も自身の行動に驚きを隠せないようであった。
「違うの、わ、私……」
二衣は額に手を当てて俯いた。
くっと一度目を閉じたあと、二衣は見かぎるように冷たい表情になり光成の手に触れた。
「…なんてね。全部質のわるい冗談だ。」
乾いた笑顔に光成は、なにかわるい予感がして、触れている二衣の手に口づけた。
「ねえ、二衣ちゃん。何が君をそんな風にさせてるのかわからないけれど、ちゃんとあの時の約束を覚えてるかな?君のたったひとつを除いて全部、俺のものだからね。」
二衣を守るための魔法の言葉であるはずだった。
「あぁ、そうだよ」
二衣は変わらない表情でうなずいた。
「だから俺は君のことを大切にしない。どうしようと俺の勝手だよね?」
「、あぁ、そうだな」
(全部吐き出したら、楽になるだろうか。) 自分のなかのもやもやとした、言葉にできないそれを乱雑に溢れるのに任して吐き出すことができたら。
<二衣 君とだと捗らないから>
<光成 まあまあ、そんないけず
いわないでさ、おいでよ
カモンщ(゜▽゜щ)カモン>
<二衣 (イラッ>
<光成 え、来ないと行くよ?>
<二衣 30分で行く>
「すごいね、まだ22分しかたってないよ。そんなに俺が君の家行くの嫌かな。」
「ミツに一刻も早く会いたかっただけだよ」
「二衣ちゃん本当に俺のこと好きだね」
「「嘘だけど」」
日曜日の朝。勉強部屋で二人並んでノートを広げた。二衣の入れた珈琲からはまだ湯気が立ち上っている。
光成は左利きなため肘がぶつかることもなく、隣で自分以外もやっているとやる気がでた。集中するのにもさほど時間はかからない。二衣は課題のプリントをもくもくとこなしていく。
しかし光成の集中はそんなに長くはもたなかった。始めてから一時間ばかりたつと提出課題が終わってしまい、二衣のようにノートをまとめている訳でもない光成は教科書をパラパラめくるだけになり、それにも飽きると二衣を邪魔しはじめた。
二衣は課題をノートに一度やり、二度目にプリントそのものを解く。数をこなせば自然身に付いていくものだと考えているからだ。必然的に光成の倍以上の時間を要する。
「ん…邪魔しない、で」
しかし、内腿を撫でる光成の手によって集中を削がれていた。
「君、本当に下らないセクハラ好きだな」
「飽きちゃったんだもの」
「私はまだ勉強してるの!」
「休憩しよう」
そういうと二衣にキッと睨まれる。しかし光成がなだめるように頭を撫でると、不服そうな顔のまま勉強に戻ろうとした。
わずかな変化を感じた光成は、シャーペンに伸ばされた二衣の手をつかむ。手が冷たいのはいつも通りだったが、光成の手に反応がいつもと全く違った。
触れた瞬間、凪ぎ払うみたいに光成の手をふりはらったのだ。
「…二衣さん?」
「ぁ………」
二衣の初めて見せる反応に光成は驚く。そして二衣も自身の行動に驚きを隠せないようであった。
「違うの、わ、私……」
二衣は額に手を当てて俯いた。
くっと一度目を閉じたあと、二衣は見かぎるように冷たい表情になり光成の手に触れた。
「…なんてね。全部質のわるい冗談だ。」
乾いた笑顔に光成は、なにかわるい予感がして、触れている二衣の手に口づけた。
「ねえ、二衣ちゃん。何が君をそんな風にさせてるのかわからないけれど、ちゃんとあの時の約束を覚えてるかな?君のたったひとつを除いて全部、俺のものだからね。」
二衣を守るための魔法の言葉であるはずだった。
「あぁ、そうだよ」
二衣は変わらない表情でうなずいた。
「だから俺は君のことを大切にしない。どうしようと俺の勝手だよね?」
「、あぁ、そうだな」
(全部吐き出したら、楽になるだろうか。) 自分のなかのもやもやとした、言葉にできないそれを乱雑に溢れるのに任して吐き出すことができたら。