泣き虫イミテーション
偽物の反則
テスト週間に入って部活ができなくなると、図書室でチームメイトたちとの勉強会がメインになる。図書室は同じように勉強をする生徒たちが何人かいて、静謐な集中につつまれていた。
しかし朔良はそんななかでも勉強に手がつかず、すぐに二衣のことを考えてしまう。
「朔、恋煩いか…?」
呆れた山田が問いかける。他の二人まで面白がるように朔良をみていた。
「は!?ないっ、絶対違うぞ!!」
「そんな全力で否定しなくても…。余計怪しいぞ」
ありありと思い出される柔く薄い桜色の唇。冷たい手の感触。そしてなによりあの表情。恋と言われてもしょうがないくらい朔良の頭の中を占めるのは二衣だった。
向かいの席で冷やかすように朔良を見る山田への罪悪感を覚えると同時に、沢山の言い訳が溢れそうになる。
同じく集中の切れていた友人が、クラスメイトを見つけて手をふる。
「朱本ー」
それに反応して、数人の女子に囲まれながら男子生徒が近づいてきた。
「やあ、みんな、勉強会?」
「テス勉。お前は女子とデートかうらやましいな」
「調べものしにきたら、ついてきちゃったんだよ」
朱本。学園の王子様と名高い光成が答えた。
「友達だよ」とはにかむと、光成を囲む女子から不満そうな声が上がった。
「モテるやつはいいなー、くそ」
僻む山田に、朔良も苦笑いして光成を仰ぎ見た。その視線をいなすように微笑んで光成は朔良の手元のノートを見た。
「英語?」
「ん?あぁ、苦手なんだよ。」
「教えようか?」
その言葉に朔良ではなく、女子たちが反応した。朔良は肩をすくめるジェスチャーをして、
「申し訳なくて頼めないよ」
初対面だというのにすごくフレンドリーな光成に緊張しつつも答える。
(コレがモテる男なんだなー)
そこでマネージャーのことを思い出した。内緒と言われたので聞くことはしないが、言い様のないものがわだかまる。今も沢山の女子を連れていて。
朔良は勉強に戻るふりをして、光成たちの会話に耳を傾けていた。
しかし朔良はそんななかでも勉強に手がつかず、すぐに二衣のことを考えてしまう。
「朔、恋煩いか…?」
呆れた山田が問いかける。他の二人まで面白がるように朔良をみていた。
「は!?ないっ、絶対違うぞ!!」
「そんな全力で否定しなくても…。余計怪しいぞ」
ありありと思い出される柔く薄い桜色の唇。冷たい手の感触。そしてなによりあの表情。恋と言われてもしょうがないくらい朔良の頭の中を占めるのは二衣だった。
向かいの席で冷やかすように朔良を見る山田への罪悪感を覚えると同時に、沢山の言い訳が溢れそうになる。
同じく集中の切れていた友人が、クラスメイトを見つけて手をふる。
「朱本ー」
それに反応して、数人の女子に囲まれながら男子生徒が近づいてきた。
「やあ、みんな、勉強会?」
「テス勉。お前は女子とデートかうらやましいな」
「調べものしにきたら、ついてきちゃったんだよ」
朱本。学園の王子様と名高い光成が答えた。
「友達だよ」とはにかむと、光成を囲む女子から不満そうな声が上がった。
「モテるやつはいいなー、くそ」
僻む山田に、朔良も苦笑いして光成を仰ぎ見た。その視線をいなすように微笑んで光成は朔良の手元のノートを見た。
「英語?」
「ん?あぁ、苦手なんだよ。」
「教えようか?」
その言葉に朔良ではなく、女子たちが反応した。朔良は肩をすくめるジェスチャーをして、
「申し訳なくて頼めないよ」
初対面だというのにすごくフレンドリーな光成に緊張しつつも答える。
(コレがモテる男なんだなー)
そこでマネージャーのことを思い出した。内緒と言われたので聞くことはしないが、言い様のないものがわだかまる。今も沢山の女子を連れていて。
朔良は勉強に戻るふりをして、光成たちの会話に耳を傾けていた。