泣き虫イミテーション
「もも、なにを勘違いしてるか知らないが、橘さんには彼氏がいるぞ」

「…え?」

朔良はスマホをいじってカメラロールから一枚の写真をみせた。この前の勉強会のときの写真だ。

「この真ん中にいる、かっこいいのが橘さんの彼氏。な、兄ちゃんではちょっと太刀打ちできないだろ?」

「かなり無理だね」

「おい」

「二衣さんもそうならそうと言えば良いのに。私だけバカみたいじゃないですか。」

「可愛くてついつい」

二衣がまた頭をなでると、桃花は顔を真っ赤にしながらうつむいた。

「じゃあ、橘さんへの用事は終了?」

「う、うん。お兄ちゃんに彼女さえできないなら万事OKだよ」

「…ただでさえモテないんだから妹が兄の希望をつまないでおくれ」

「私より先に恋人作るのは許さない。」

「た、橘さん。夕飯食べてく?」

「え?あぁ、遠慮しとく。ありがとうね」

「じゃあ橘さん送ってくるから」
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