恋人たち【短編集】
「へ…へ!?俺っすか!?」
上品な着物を着た女の人だった。
30歳くらい?…見たことないから、この人は外部講師なんだろうか。
「そう。あなた。
何か用事があったんでしょ?言ってから行きなさいよ。」
「あ…俺…自分は、坂上凛の彼氏です。
凛を迎えにきたんですけど、お邪魔になりそうなんで帰ります。」
その言葉に奥からまた女性が出てきた。今度は60代くらい?
この人も着物を着ている。
「あら凛さんの彼氏さん!?
そう言いなさらないで、お稽古を見ていかれたらどう?
そうだ!凛さんの入れたお茶を飲んでいきなさいよ。せっかくだから。」
「いや…っでも自分は作法は……あんまり…」
「大丈夫よ!皆で教えるから!」
「は、はあ…」