恋人たち【短編集】
ゆみにあんないされて、手をあらってからリビングに行くと、
ピンポンがなった。
「ただいまぁー」
「おとーさんだ!」
ゆみが、ばたばたとかけだしていった。
「おー、ゆみ。ただいま。」
「あら、もう帰ってきたの?」
おばちゃんの声が、いっきにつめたくなって、ぼくたちはびっくりした。
でも。
「りーーんーーーーっ!」
おじちゃんがおばちゃんをだきしめたしゅんかん、これがゆみが言ってた“いじわる”なんだってわかった。
「ちょっ……今日はゆみのお友達がきてるのっ」
「そうなのか…じゃあまた後でな…」
さっきのうれしそうな顔とはぜんぜんちがう、かなしそうな顔で、おじちゃんはこっちに歩いてきた。