【好きだから別れて】
「二人共真っ直ぐストレートだから髪はさらさらだな。鼻はどう頑張っても高くはなんねえ。まっ、俺に似たら頭は良いぞ~なんてな…」


一人でべらべら話す悠希。


その横顔に見とれていたあたしは


「お前どんだけ自分好きなわけ?」


幸せな会話に心地よさを感じたが、わざと悠希をちゃかした。


互いに凄いにやけ顔でまだ見ぬ二人の子供の想像が膨らんでいく。


まだ二人に子供なんていない。


結婚の約束すらかわしていない。


繋ぐものなど何一つない。


それなのに悠希と夢中になってこの世に存在しない我が子について話していた。


「歩はどんな子に育って欲しい?」


「まぁあたしの子だから犯罪まがいをやらかすのは覚悟しなきゃね。でも人に不自由しない人に愛される子にはなって欲しいかなぁ」


「犯罪は困るが愛される子にはなって欲しいな」


「じゃ悠希は?」


「俺は定番だけど五体満足なら文句ない」


「健康にはかなわないよな…バカでもいいが病気ばかりじゃ親も子もまいるしさ。なんせあたしは大手術を四回も経験した女っすからね。病気はノンノン」


「あっ。そうだったよな。歩、体にそん時の傷あるもんな…」
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