【好きだから別れて】
「はっ?何それ?動物嫌いって事?」


あたしはもちろん、周りに動物アレルギーの人がいないく、そのアレルギーがどんなものなのかよくわからず頭の上がハテナマーク状態だった。


嫌いなもんは嫌いだし、押し付けらんない。


「違うよ!動物の毛とかで体痒くなんの!無理無理無理!マジむりぃぃいいい!」


悠希のしゃべりがより一層焦りを増し、想像を越えるきついものなんだというのは伝わってくる。


けどいまいちアレルギーがどんなもんなのか実体験がないだけに、やはりハテナが頭をうろつく。


「んじゃ今いないけどここの部屋やばいやん?最近までいたわけだし」


「ヤバイとかのレベルじゃねぇよ~俺はんぱねんだ。このアレルギーだけは」


「そんなに?」


「なんか…」


「ん?」


「痒く感じてきた…」


「ええっ!!大丈夫!?」


つられて混乱してしまったあたしは原因は座布団だと勘違いし、とんでもない言葉を言い出した。


「おかんこれちゃう!違う座布団持ってきて!」


思わず母を呼んだあたしを見て、悠希は固まって口をパクパクしている。


「あゆっ、馬鹿!何呼んでんだよ!!」


「あっ!」


両手で口を塞いだが時はすでに遅く…“ドンドンドン”


母の階段を駆け上がる足音は近付き、部屋の扉は開かれた。


「座布団!?違うの押し入れにあるよ」


そういいながらお茶を手に持つ母が姿を現した。
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