【好きだから別れて】
約三時間経過した頃。


始めは微かな痛みだったのに嘘だろってくらい瞬く間にズシッと腰にくる痛みへ変化して、体が着いていけなさそうだった。


「あぁああぁぁ!!あぁああ!!」


ベッドの枠を両手で掴み、力み過ぎて鉄すら折り曲げてしまう力が枠にかかる。


それでも痛みは逃げなくて、どこを握ればいいのか混乱しそうだ。


痛みを表現するなら折れた骨を金属バットで何度も強打し、げっそりするレベルでお腹が下った一万倍の痛み。


気絶しかかっては痛みで起こされ、壮絶な悲鳴をあげ続ける。


「あぁああ!ムリムリムリムリ!!痛いよ!痛いよぉおお!」


人は痛すぎると眠くなるらしく、頭がウトウトして凍死する人みたいだ。


でもまた目に見えない金属バットが振りかざされ、エンドレスに強打してきた。


「殺せ!ムリムリムリ!だぁあああ!早くでてぇぇえ!」


「歩!どこ擦ればラクになる!?」


「こ~しぃいい!あぁああ!!早く押してぇええ!!」


父が見てられなくなったらしくとうとう腰を擦りだした。


男親はダメだ。


加減なしに勢いよく擦るもんで背中の皮が摩擦で熱くなり、皮が剥けヒリヒリする。


あたしは憤りのない陣痛の痛みとヒリヒリで父にマジギレをかました。


「おまっ、バカか!二度と触んな!逆にいてぇんだっつの!!あぁああ!もう!」


完璧な八つ当たりに逆ギレをしてくるのかと思いきや、状況が状況なだけに父はすんなり手を止め、心配そうに顔をしかめていた。
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