【好きだから別れて】
「ねぇ。毎日ちゃんと写真撮っといてよ」


「当たり前だろ。大切な我が子の記念だもんな。昨日は出産に立ち会えてマジ感動したし」


「こっちは痛くて感動どころじゃなかったんだから~」


「そうだよな。お疲れ様。でもこんなに可愛い子産んでくれてありがとうな」


片一方は幸せをまるごと感じているのに、あたしは旦那に愛されてもいない。


おろせと言われた我が子も真也にとって必要のない子。


子供を産んだのは自信を持って間違ってなかったと言いきれるが、真也と結婚してしまったのは間違いだったのかもしれない。


あたしの私利私欲で、勝手に我が子の人生を狂わせてしまうなんて…


「寂しいから」なんて理由にならない理由で、どうでもいい男に股を開いたあたしがバカだったんだ。


妊婦だからとなあなあ生きていた10ヶ月。


そんな自分が人をとやかく言う権利などどこにもない。


真也をせめるのも


他人の幸せを歪んだ気持ちで見つめるのもいけない。


許されやしないんだ…
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