【好きだから別れて】
もう疲れきっていた。


意地を張り生きるのも、前に進む為懸命に生きるのも。


悠希を失い得たのは幸せとは程遠い。


惨めな自分の姿と虚像の家族。


あたしは


歩は


行く先々に二つの道があるのなら間違った道ばかりをとことん選び続けたのかもしれない。


寂しさから逃れたいが為。


一時の苦しみから解放されたいが為に光を巻き込み、勝手に母親になった。


命は「物」ではなく「者」


尊く、何にもかえがたい全てなんだ。


なのにあたしは………


黒い女は所詮「黒」


白になんてなりようがなくて。


どんなにもがき泣き叫んでも。


歩は


……黒
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