【好きだから別れて】
この張り裂けんばかりの胸の痛みをどう処理したらいいのか。


打ち砕かれた夢物語に手を伸ばしていいのか。


考えて考えて。


いろんな答えが四方八方を飛び交い、手にした携帯を離せないでいる。


イエス?


ノー?


イエス?


ノー?


イエス?


イエス。


お願い。


悠希。歩を助けて…


どうしても苦しみに勝てなくて、悠希のアドレスも覚えていたあたしは記憶を辿り、泣きながらメールを打った。


『お久しぶり。歩だけど、ちょっと話せない?』


作成したメールをすんなり送信したが、気持ちは焦りと罪悪感だらけだった。


その罪悪感は真也と光にある。


だが、話すのは今しかないんだ。


“♪~♪♪~”


ものの数分で携帯はメール受信の音を鳴らし出し、画面を恐る恐る開くと


『いいよ』


悠希からのメールに心臓が取れてしまいそうだった。


声が聞ける。


でも、聞いたらどうなるんだろう。


自分の気持ちを抑えきれる自信などないがかける決心を固め、深呼吸し冷や汗で携帯が濡らして悠希へ電話した。


「ふうっ」


…トゥルルルル


2コールくらいすると


「もしもし。歩?」


懐かしい悠希の甘い声が耳へ入ってきた。
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