【好きだから別れて】
「かなり久しぶり。元気してた?」


「もちろん俺は元気だよ。ってかお前声変わんねぇな~」


「うっさいなぁ。悠希こそ語尾伸ばすの変わんないじゃん。まず元気ならいいんだけどさ」


涙と一緒に出た鼻水を軽くすすり、ちょっと笑いそうになっていたら悠希は話しを続けた。


「歩…あのさ…。いきなりなんだけど本当のこと言ってな」


「うん。何?どした?」


「お前…」


「…何?」


「…俺とつきあってる時に浮気してたの?」


「するわけないじゃん!!」


突然悠希が変な質問を投げかけてくるもんだから声が裏がえり、ついムキになってしまう。


愛して愛して愛して。


溶けて悠希の一部になりたいくらいいとおしいのに、浮気なんて…


「いや。あっという間に結婚してたからさ…」


「…」


何も言えない。


何も言い返せない。


悠希の視点でいけば、そう思われても仕方のない行動をとっしまったのだから。


別れて数ヶ月で妊娠、結婚していたのだから。


黙るあたしに気を使ったのか悠希は話を続けた。


「そうそう。もう子供生まれたよな~性別は男?女?」


「男、男。息子。だいぶでかくなったよ」


明るく話しかけてくれる悠希に自分も明るく返して、話を繋げる。


「名前は?」


「光ってつけたんだなぁ」


「光か。いい名前じゃん。光は歩に似てやんちゃなんだろうな~お前子供はちゃんと大事にしろよ」


「息子愛してますから~大事にするに決まってんじゃん」


そう。


悠希は家族が大事なんだ。


それなのに今のあたしは?


光は大事にしてるけど真也は…
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