【好きだから別れて】
~父親と母親が揃っていれば幸せな家族~


理想的な形をとっていれば幸せになれるものだとあたしは単純に思っていた。


どこのどいつが言い出したのか知らないが「夫婦はいつしか空気みたいな存在になる」と聞いた事もある。


光は親がいなくては生きていけない。


あたしがいなければ生きれない。


光は。


我が子は真也もあたしもどちらも必要なのだろうか?


こんな出来の悪い夫婦が両親でいいのだろうか?


――愛が通いあってない両親に囲まれて幸せになれますか?彼の未来に光はさしますか?


頭を悩ませるが答えが出ない。


結局全てはあたしが招いた道筋で光は何も悪くない。


まったく罪のない子を振り回そうとしている母親。


懲りもせず悠希を求めさ迷う母親。


そんなあたしの仮面をかぶる姿に光はいつか気付いてしまうだろう。


光が少年になった時


「出来たから産んだんだろ!なんで産んだんだ!」


そう言われても仕方ない。


実際、この間まで自分も両親にそう思って過ごしてきたのだから。


~出来たから産んだ~


~仕方ないから産んだ~


~誰の子だろうが産んだ~


光の観点は多種多様にあって、少年の光は自分が感じ口にする感情全てにおいてどこも正論に感じるはずだ。


「違う!あたしはあなたが必要だったの。あなたを産みたかったの!」


この選択肢は間違いなんかじゃない。


光がお腹に宿ってくれたのが正しい。


これから強く言えるようになりたい。


光に


「ママの子に生まれてよかったよ」


と言われるような母親でありたいとただ願う。
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