【好きだから別れて】
「ごめん。俺いきそう」


しかめっ面で必死にこらえている悠希の悩ましげな姿。


愛しく感じてたまらない。


「うん。ちゃんといって」


悠希は力が抜け、精根尽き、あたしの上に倒れ込んだ。


少し汗でにじんだ悠希の背中。


指先で撫で、存在を確認する。


あたし達はここから始まるんだ。


悠希は体を起こし、目があうと深くグイグイ唇にキスをして


「俺お前好きだからな」


くさい台詞をあえて真顔で言いだし、恥ずかしくてついあたしは吹き出しかけた。


もしかしたら騙されてるかもしれない。


女を知り尽くしたチャラ男かもしれない。


けどあたしはこの言葉に偽りは感じず、悠希を信じたくなったんだ。


どこにも確信なんてないのに…


悠希は横に寝転び、さりげなく腕枕をしてくれ天井を見上げる。


「あのさ…」


「ん?」


「俺、お前心配なんだよ」


「心配?何が?」


「ん?いろいろとな…」


悠希はそれからその事について一切触れず、違う会話で話を濁した。


問い詰めるのが嫌いなあたしは何も言わず、悠希が結局何を言いたかったのかわからぬまま肌と肌を密着させ、頬擦りし甘えた。


「お前って本当可愛いのな」


「可愛いくなんかないよ」


「いや。最高可愛いし」


「何言ってんだか」


「ムカツクけどやられたな…」


あたしは悠希のもの。悠希はあたしのもの


心に問いかけ、いつの間にか先に眠る悠希の寝顔を見ていたら、あたしも眠気に吸い込まれ眠りに落ちていた。


産まれたままの姿で肌を重ねながら…
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