【好きだから別れて】

・性の病と家族の秘密

悠希と体を重ね、幸せを感じてから以前とは全く違う形で二人は仲良くなり、心が通い合うようになっていった。


地味な衝突はあっても大きな喧嘩もせず、会えば抱き付き、甘える事だって出来る。


慶太の影を追わず、何もかもがうまく行き過ぎで怖いくらいだ。


だが、一難去ればまた一難。


生きてれば平坦な道のりなどない。


どんなに男をこなそうとも今まで不快に感じなかったあたしの下半身。


悠希と体を重ねてから日が経たぬ内、異変が起こりだしたんだ。


下着に付着したおりものの匂いがやけにきつく、違和感を感じる。


なんだろう。量も多い。でも痒みはないしなぁ。性病?まさかぁ~!まさかだよね…


気になりだすとどこまでも気になる。


何度も下着を確認しては考えが悪い方向へと向かっていく。


やっぱやべぇって


気になるなら病院へいってしまえと勢いで車に乗り、あたしは近場の婦人科で内診と検査をしてもらいにいった。


どこか薬くさい病院の匂い。


すくむ足を前に進ませ腹を決め、受付の案内通り婦人科の椅子で呼ばれるまで待機する。


「山本歩さん。こちらにどうぞ」


「あの~これに座るんですか?」


「そうよ。ちゃんと足を乗せてね」


看護婦に着いて行き、指示されるまま変な椅子に乗る。


まさに変態雑誌で使う椅子。


と足を台に乗せ、誰にも見せたくない姿をさらすはめになった。
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