雨に似ている
涙
窓枠から見えるのは、四角く小さな空と見慣れた街並み。
詩月は部屋を見回す。
白い壁、ツンと鼻をつく独特の匂い、手首に刺さった点滴の針。
詩月は「またか」と溜め息を漏らす。
今、自分が何処にいるのかに気づく。
――申し訳ないことをしてしまったな。演奏どころではなくなっただろうに……
詩月はカフェ・モルダウでは先日の演奏放棄といい、今日といい、迷惑ばかりかけていると思う。
詩月には貢の叫ぶ声を聞いた後の記憶がない。
詩月は窓枠から、濃い灰色に染まった四角い空を見つめながら、数日は泊まりだなと思い肩を落とす。
「気づいたか?」
理久が私服姿で、病室を覗き込む。
ツカツかと病室に入ってくるなり、詩月に話しかけた。
「ついさっきまで貢と郁子もいたんだがな、叔母さんも」
「理久、緒方……怒ってなかった?」
詩月は部屋を見回す。
白い壁、ツンと鼻をつく独特の匂い、手首に刺さった点滴の針。
詩月は「またか」と溜め息を漏らす。
今、自分が何処にいるのかに気づく。
――申し訳ないことをしてしまったな。演奏どころではなくなっただろうに……
詩月はカフェ・モルダウでは先日の演奏放棄といい、今日といい、迷惑ばかりかけていると思う。
詩月には貢の叫ぶ声を聞いた後の記憶がない。
詩月は窓枠から、濃い灰色に染まった四角い空を見つめながら、数日は泊まりだなと思い肩を落とす。
「気づいたか?」
理久が私服姿で、病室を覗き込む。
ツカツかと病室に入ってくるなり、詩月に話しかけた。
「ついさっきまで貢と郁子もいたんだがな、叔母さんも」
「理久、緒方……怒ってなかった?」