雨に似ている
6月に入ってからは、幾度も保健室で休んだり、雨がひどく降る日は大事をとり欠席したりしている。
梅雨時期は自分なりに、いつもより用心をしているつもりでいる。
――転校し環境が変わったせいもあるのかもしれない
詩月は思ってみる。
詩月が体調を崩すたび、詩月の母親は悲しい顔をする。
幼い頃。
詩月の拙いヴァイオリンを聴きながら、母親が唯1度詩月にポツリ呟いたことがある。
「薬なんて飲まなきゃよかった。腱鞘炎の痛み止めなど飲まなければ」と──。
涙で頬を濡らしながら、折れるほど強く詩月を抱きしめて。
腱鞘炎の痛み止め薬と、詩月の病状。
因果関係は定かではない。
が母親は、詩月が発作を起こすたび、体調を崩すたびに自分を責める。
詩月はいつも明るく優しく、気丈に振る舞い微笑む母親が、夜中に1人泣いているのを知っている。
梅雨時期は自分なりに、いつもより用心をしているつもりでいる。
――転校し環境が変わったせいもあるのかもしれない
詩月は思ってみる。
詩月が体調を崩すたび、詩月の母親は悲しい顔をする。
幼い頃。
詩月の拙いヴァイオリンを聴きながら、母親が唯1度詩月にポツリ呟いたことがある。
「薬なんて飲まなきゃよかった。腱鞘炎の痛み止めなど飲まなければ」と──。
涙で頬を濡らしながら、折れるほど強く詩月を抱きしめて。
腱鞘炎の痛み止め薬と、詩月の病状。
因果関係は定かではない。
が母親は、詩月が発作を起こすたび、体調を崩すたびに自分を責める。
詩月はいつも明るく優しく、気丈に振る舞い微笑む母親が、夜中に1人泣いているのを知っている。