take it easy
3
****
「古瀬さん。書類出来ました」
両手で差し出した書類を見て、ちらっとだけ視線を上げる古瀬さん。
「…そこに置いておけ」
「えー……」
「何を企んでいる?」
「映画行きませんか?」
書類に挟んだチケットを出して、ニッコリと微笑むと、
「馬鹿かお前は」
古瀬さんは書類だけ受け取って、それから眼鏡のズレを直す。
「仕事中に何を考えているんだ」
テキパキと書類の角を揃えて、それから目を通し始めた。
こうなると、まわりが目に入っていない。
話しかけても、変顔をしても、一切合切マイワールドに入っている……
けど。
ププププ……
「古瀬です」
内線には反応するんですね~。
きっと鬼は鬼でも、仕事の鬼なんだと思うんだな。
静かに怒っているのはよく見るけれど、怒鳴り声を上げて怒っているのは見たことがないし。
逆にそれが怖いんですよね。
まず、眼鏡のレンズが反射して見えて、それからゆっくりと腕を組んで……
そして、静か~に、
「成宮」
「こんな感じですよね」
「……真昼間から寝ぼけているのか」
「ああ。いいえ。しっかり目覚めてますよ~」
ニッコリ微笑む私に、古瀬さんは無表情。
「ともかく」
「はい」
「お前、営業課の書類はもう出したのか」
営業課……
営業課。
営業課ぁっ!?
「え。そんなのありましたか?」
「午前中、計算を直せと言った書類だ」
午前中……
「あ……」
呟いたら、ジロリと睨まれた。
「お前は……」
小さく舌打ちが聞こえて、
「書類を持ってこい」
「え……あ、あの」
「お前に頼んだ僕が悪かった。もういいから持ってこい」
もういいから……
もういいからって……
「嫌です!」
「子供みたいな事を言っていないで持ってこい。時間がない」
「すぐやります!」
「お前だと遅い」
「頑張りますからっ!」
だから、もういいなんて言わないで下さい!
「古瀬さん。書類出来ました」
両手で差し出した書類を見て、ちらっとだけ視線を上げる古瀬さん。
「…そこに置いておけ」
「えー……」
「何を企んでいる?」
「映画行きませんか?」
書類に挟んだチケットを出して、ニッコリと微笑むと、
「馬鹿かお前は」
古瀬さんは書類だけ受け取って、それから眼鏡のズレを直す。
「仕事中に何を考えているんだ」
テキパキと書類の角を揃えて、それから目を通し始めた。
こうなると、まわりが目に入っていない。
話しかけても、変顔をしても、一切合切マイワールドに入っている……
けど。
ププププ……
「古瀬です」
内線には反応するんですね~。
きっと鬼は鬼でも、仕事の鬼なんだと思うんだな。
静かに怒っているのはよく見るけれど、怒鳴り声を上げて怒っているのは見たことがないし。
逆にそれが怖いんですよね。
まず、眼鏡のレンズが反射して見えて、それからゆっくりと腕を組んで……
そして、静か~に、
「成宮」
「こんな感じですよね」
「……真昼間から寝ぼけているのか」
「ああ。いいえ。しっかり目覚めてますよ~」
ニッコリ微笑む私に、古瀬さんは無表情。
「ともかく」
「はい」
「お前、営業課の書類はもう出したのか」
営業課……
営業課。
営業課ぁっ!?
「え。そんなのありましたか?」
「午前中、計算を直せと言った書類だ」
午前中……
「あ……」
呟いたら、ジロリと睨まれた。
「お前は……」
小さく舌打ちが聞こえて、
「書類を持ってこい」
「え……あ、あの」
「お前に頼んだ僕が悪かった。もういいから持ってこい」
もういいから……
もういいからって……
「嫌です!」
「子供みたいな事を言っていないで持ってこい。時間がない」
「すぐやります!」
「お前だと遅い」
「頑張りますからっ!」
だから、もういいなんて言わないで下さい!