復讐
パァン……パァン
私は躊躇うことなく2度引き金を引いた
……もちろん命までは奪わない
「ぐぁっ!
殺さないと言ったじゃないか!お、俺の足が……」
「あぁ、だから殺さないよ
だが、掟を破ったものには罰を与えないとな…」
そう
だから、
私は、組長の両足を撃った
「汚ねぇーぞ!」
私に向かい怒鳴る組長……いや、もう組長ではないな
「……汚ない?
それはお前だろう…須藤
一度しか言わないからよく聞け
お前達須藤組は今日、今をもって破門を言い渡す
すぐに尾崎組のシマ(領域)から出ていけ」
私は言うだけ言って、
うなだれる須藤を無視し
元・須藤組を後にした
「お疲れさまです若頭」
私が車に乗ると
運転席にいる男にそう言われた
「あぁ、
宮坂(みやさか)もご苦労だった」
宮坂はよく私の運転手をしてくれる男だ
実力も申し分なく、
敦と仲がいい
黒髪をオールバックにし
スッとした目
真っ黒なスーツといかにもヤクザらしい顔だが優しい男だ
…確か25才とか言ってたな
「いえ、
私は別にそこまで動いていませんよ
ほとんど若頭お一人でなさったことです」
「そんなことはない
お前らがいてくれて助かった」
一人でやるより組員がいたときに
助かることもたくさんある
だから、私は礼を言った
「嬉しいお言葉です」