私の優しい人
 彼の姉はお金を払ってきちんとした出会い系に登録しているという。


 結婚だけに的を絞るならそれが一番効率的で無駄がない。

 年収も家族構成も事前にわかる。
 お互いの条件を提示して臨むのは、余計な回り道がない。

 私も登録しようかと、啓太さんに出会う前は思った事があるくらいだ。

 でも、今は恋愛にこだわりたい。

 誰に責められている訳じゃないけど、幾つになっても恋愛して結婚したいと願ってもいいじゃない、私はいつでもそう思っていた。

 結婚した後も、夫と恋愛し続けたい。
 子供が産まれてもラブラブでいたい。

 乙女思考。夢を見過ぎと言われてもいい。

 私はきっと30を過ぎても、40を過ぎても、痛いと言われても、ずっと女子であり続けたい。

 私たちは色んなものと戦っている。

 私だって、後輩工藤のお姉さんだって、これまで何もせずに来たわけじゃない。

 その時々を頑張ったり、頑張れなかったりして、それなりに生きてきた。

 その結果が今のシングルの状態に繋がっているとしても、さも心配している体を装ったり、指摘したりせずに放っておいてほしい。

 女には女の事情があり、男には男の事情がある。

 一般的に男の負う責任のほうが大きい。

 わかる。そんな事わかってる。

 たった一年の付き合いで、答えを強請るのは早すぎるかもしれない事も。わかっている。

 私は恋愛していて、好きだと言える人がいる。

 恋愛結婚ができるかもしれない相手がいる。

 彼だけが唯一の人。

 だったら、求めてばかりではいけない。

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