私の優しい人
(繰り返しになるけど、私は根性があるから大丈夫。
また一年後とかに同じ事言っちゃうかもしれないけど、その時はまた許して下さい。
出張行ってらっしゃい。
お泊り楽しみです。)
残業を終えた会社のロッカールームで打ったメール。
何度も読み返すと送信できなくなってしまう。
えいっと気合いを入れて画面をタップした。
そして、私の送ったメールの返事は、日付が変わる時刻が迫った夜中の電話だった。
枕元に置いてあったスマホにはすぐ手が届く。
「メールありがとう」
遅くにごめんねと言った後に続いた言葉。
返信で済ませなかった彼の気持ちが、嬉しかった。
ありがとうなんて感謝の言葉をもらうのは、どこか違う。
寝付かれずに横になっていたベッドから身を起こす。
「啓太さん。私ね」
小さく息を吸い込む。
「昨日の馬鹿を言えてよかった。そうじゃなきゃ、前に進めなかった」
「馬鹿は、僕だろ」
断定する彼の言葉は強い。
その緊張を解くように、私はへへっと笑ってみせた。
くれた言葉は短かったけど、昨夜の寝つきの悪さも、朝の化粧の乗りの悪さも、何だったんだって言う位、モヤモヤも恥ずかしさも無くなっていた。
また一年後とかに同じ事言っちゃうかもしれないけど、その時はまた許して下さい。
出張行ってらっしゃい。
お泊り楽しみです。)
残業を終えた会社のロッカールームで打ったメール。
何度も読み返すと送信できなくなってしまう。
えいっと気合いを入れて画面をタップした。
そして、私の送ったメールの返事は、日付が変わる時刻が迫った夜中の電話だった。
枕元に置いてあったスマホにはすぐ手が届く。
「メールありがとう」
遅くにごめんねと言った後に続いた言葉。
返信で済ませなかった彼の気持ちが、嬉しかった。
ありがとうなんて感謝の言葉をもらうのは、どこか違う。
寝付かれずに横になっていたベッドから身を起こす。
「啓太さん。私ね」
小さく息を吸い込む。
「昨日の馬鹿を言えてよかった。そうじゃなきゃ、前に進めなかった」
「馬鹿は、僕だろ」
断定する彼の言葉は強い。
その緊張を解くように、私はへへっと笑ってみせた。
くれた言葉は短かったけど、昨夜の寝つきの悪さも、朝の化粧の乗りの悪さも、何だったんだって言う位、モヤモヤも恥ずかしさも無くなっていた。