私の優しい人
彼はすぐに現れた。
新幹線口がすぐ近くにある事もあって、こちらに向かう彼の姿はすぐにわかった。
あ、スーツじゃないんだ。
グレーのパンツ、ノーネクタイのシャツの上はニットカーデガン。
すたすたとした歩みからは、少しも疲れを感じさせない。
私を認め、足早に近づいてくる。
出張前から彼は残業が続いていたし、顔をちゃんと見るのは久しぶりだし、男前度が高くてつい顔がにやけてしまう。
「啓太さんお疲れ様」
照れ隠しもあって軽く手を振る。
「うん。待たせてごめんね。でも、何、その荷物?」
にっこり笑った次に彼は私のバッグをじっと見ていた。
「何泊するつもり?」
不思議そうに尋ねられる。
「一泊。着替えと、下着と、もろもろの予備と、化粧品とお菓子」
「多すぎるよ。荷物は最少コンパクトに。キャリーバックの時は後ろを歩く人に迷惑かけないようにね」
「はいはい」
荷物が多少多いのは心配性だから、だけじゃなくて小旅行気分で興奮していたから。
大丈夫。当然移動中は周りにも気を使っています。
お母さんみたなお小言に少々気分を害されていると、彼は私の頭を軽くなでる。
「ごめん。心配だったから」
と言いながら、私のその荷物にそっと手を添えて当たり前のように受け取る。
多くの人が行き交い、みんなが目的以外に興味が無いように見える。でも……
人前でこんな事されていいの。
胸がどきどきする。
こんなやり取りも甘くて、前戯の始まりだったみたいだ。
その後、部屋に入ってじっくり室内を探索する間もなく、彼は私を抱きしめて吸い付くようなキスをした。
そのままゆっくりと体を押され、あっと思う前にベッドに腰を落とし、上にのしかかられていた。
噛みつくようなキス。いきなりこんなの初めてだ。
「啓太、さ……」
いつもと違う。
ニットをたくし上げた手はブラの上から膨らみを握る。
汗かいたばかりだし、シャワーも浴びてないのに。
「里奈」
私の意思を読み取って、了承を得るかのような声。
私もこのままでいい。
吸い込む啓太さんの匂いが懐かしくて、たったそれだけの事で幸福感に包まれている。
ストッキングとショーツを剥ぐようにして奪われ、私達は一つになった。
痛みはない。焦って体を繋げて、やっと彼が帰ってきたと実感する。
やっぱりこの温もりがないと駄目だ。
彼と繋がった所から全身に潤いが広がった。
新幹線口がすぐ近くにある事もあって、こちらに向かう彼の姿はすぐにわかった。
あ、スーツじゃないんだ。
グレーのパンツ、ノーネクタイのシャツの上はニットカーデガン。
すたすたとした歩みからは、少しも疲れを感じさせない。
私を認め、足早に近づいてくる。
出張前から彼は残業が続いていたし、顔をちゃんと見るのは久しぶりだし、男前度が高くてつい顔がにやけてしまう。
「啓太さんお疲れ様」
照れ隠しもあって軽く手を振る。
「うん。待たせてごめんね。でも、何、その荷物?」
にっこり笑った次に彼は私のバッグをじっと見ていた。
「何泊するつもり?」
不思議そうに尋ねられる。
「一泊。着替えと、下着と、もろもろの予備と、化粧品とお菓子」
「多すぎるよ。荷物は最少コンパクトに。キャリーバックの時は後ろを歩く人に迷惑かけないようにね」
「はいはい」
荷物が多少多いのは心配性だから、だけじゃなくて小旅行気分で興奮していたから。
大丈夫。当然移動中は周りにも気を使っています。
お母さんみたなお小言に少々気分を害されていると、彼は私の頭を軽くなでる。
「ごめん。心配だったから」
と言いながら、私のその荷物にそっと手を添えて当たり前のように受け取る。
多くの人が行き交い、みんなが目的以外に興味が無いように見える。でも……
人前でこんな事されていいの。
胸がどきどきする。
こんなやり取りも甘くて、前戯の始まりだったみたいだ。
その後、部屋に入ってじっくり室内を探索する間もなく、彼は私を抱きしめて吸い付くようなキスをした。
そのままゆっくりと体を押され、あっと思う前にベッドに腰を落とし、上にのしかかられていた。
噛みつくようなキス。いきなりこんなの初めてだ。
「啓太、さ……」
いつもと違う。
ニットをたくし上げた手はブラの上から膨らみを握る。
汗かいたばかりだし、シャワーも浴びてないのに。
「里奈」
私の意思を読み取って、了承を得るかのような声。
私もこのままでいい。
吸い込む啓太さんの匂いが懐かしくて、たったそれだけの事で幸福感に包まれている。
ストッキングとショーツを剥ぐようにして奪われ、私達は一つになった。
痛みはない。焦って体を繋げて、やっと彼が帰ってきたと実感する。
やっぱりこの温もりがないと駄目だ。
彼と繋がった所から全身に潤いが広がった。