桜花録【オウカロク】―囚われし真実―
第一章
プロローグ
闇夜……黒い大地をガラス玉のような満月が静かに月明かりで照らし出す。
そんな星が煌めく夜、ぽつんと女が一人。ぼんやりと空を空虚な眼差しで見ていた。
草や葉がさらさらと音をたてる。ふわりと優しく通って来た風が彼女の艶やかな黒髪をそよがせる。その風にのせられ微かに血の匂いが鼻を掠めたが、彼女は全く表情を変えること無くそのまま空を見続けて微動だにしない。
そんな彼女を狙う兵士が一人。茂みに隠れ弓矢を一本、携えていた。兵士はじっくりと彼女の様子を伺っている。
やがて動かないと思ったのか、兵士は口元を引き締め弓矢を構え、ギリギリと引き彼女に焦点を合わせた。
そんな星が煌めく夜、ぽつんと女が一人。ぼんやりと空を空虚な眼差しで見ていた。
草や葉がさらさらと音をたてる。ふわりと優しく通って来た風が彼女の艶やかな黒髪をそよがせる。その風にのせられ微かに血の匂いが鼻を掠めたが、彼女は全く表情を変えること無くそのまま空を見続けて微動だにしない。
そんな彼女を狙う兵士が一人。茂みに隠れ弓矢を一本、携えていた。兵士はじっくりと彼女の様子を伺っている。
やがて動かないと思ったのか、兵士は口元を引き締め弓矢を構え、ギリギリと引き彼女に焦点を合わせた。
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