覚醒
古田は5教科の中で4教科は
完璧と言っていいほどの点だった。


後1教科はと言うと
俺が担当する数学であった。


古田は「数学が嫌い!」と事前に
言ってくれていた。


だから必死で頑張ろうとする古田を
俺も一緒になって応援しようと思った。



「広松せんせーい!ここ分かんない」


いつもそう聞きに来てくれる
古田の事を、俺はいつの間にか
生徒とは違う感情を持っていた。


問題を教えてあげて古田の解く姿が
今でも目に焼きついている。



古田は俺をどう思っているのだろう?
先生としか見てないのかな?



ならば先生から告白なんて
恥ずかしいけど、この気持ちを
止めることは出来ないから
ちゃんと古田に伝えよう。



俺は決心した。
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