覚醒
「絵里・・・何やってんの?」


絵里は黙っている。


「こんな事していいの?
あんた明日から居場所ないよ?」


一ノ瀬は絵里を脅し続ける。


絵里は「あ・・・あ・・・」って
言うばかりで何も言い返せてない。


「一ノ瀬!やめろよ。
お前そういう事ばっかりするな。
これは俺が悪いから、もう帰れ」


俺は冷静を装っていた。


「いいけど。別に私には関係ない」


それだけ言って一ノ瀬は帰った。

俺はしっかりしないと。
車の座席に座る絵里は震えていた。


「もう・・・もう付き合っちゃ
いけないんだよ・・・」


絵里の言葉の中で
一番聞きたくない事を耳にした。


「別れよ・・・隼人」


あぁ・・・もう俺は俺じゃなくなった。
プツリと何かが切れた。
狂いだした。
< 122 / 162 >

この作品をシェア

pagetop