【短】Blue-Sky-Blue
「はいっ?」


目を拭うのはもう手遅れだ。

ポタポタと涙が落ちる。


「案内するよ」


そんなんで前見えないでしょ?と優しく笑う彼に、さらに涙が溢れた。


「ごめん、なさい」

「いいよ別に。新入生は迷うのが当然だし」


そういうことじゃないのは彼も分かっているはずなのに、やっぱり優しい。


涙が止まるまで、グスグス言いながら前を歩く先輩を追った。


*******

「え、ここって」

「見りゃ分かるじゃん、食堂」

「ええ、まあ…」


そりゃ食堂でしょうとも。

すっかり泣き止んだ私には見間違うこともない。


「人少ない道選ぶのまじ頭使うわー」


人足先に椅子へ座る先輩。

幸い食堂は夕方だからか誰もいない。


座りなよ、と指された椅子へ腰を下ろす。


< 9 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop