俺じゃなきゃダメにしてあげる【短編】
「…あたし、先輩の彼女でいる資格ないですよね……ごめんなさい。さようなら」
小春は教室を飛び出した。
朱は小春を追いかけるが思いの外早い足の小春に戸惑った
「う゛…う゛…」
先輩が見えなくなって、小春はその場に座りこんだ。
どんなに涙を擦っても枯れない涙は、先輩との別れの涙…
その時、小春の体を人の体温が優しく包みこんだ。
「陸上部…なめんなよ…」
息の上がったこの人は
間違いなく
小春が愛す朱だった。
「先輩…何で、あたし、罪を犯したのに」
「…うん」
後ろから抱き締められた小春の体から震えが引いていく