俺じゃなきゃダメにしてあげる【短編】
「…俺だけ…小春ちゃんを愛していいのは俺だけだから」
どんな時でも
先輩は走って来てくれる
今だって…
大事な時はいつも先輩は走って来てた
そう、壁を作ってたのはあたしなんだ
勝手に寂しがって
いつもあたしに笑いかけてくれた先輩に勝手に壁を作って
「…先輩、先輩ごめんなさい…あたし、あたし…」
唇が先輩の手のひらによって塞がれた。
「…いーよ、その代わり俺じゃなきゃダメにしてあげる」
小春を連れて朱が向かったのは誰も使わない空き教室。
朱は小春を机に座らせた。
「…小春ちゃん…」
「先輩…っ」