匿名希望さん、こんにちは。
「…………え…?」
顔がみるみる赤くなるのがわかる。
わかってるんだ。葉山君が匿名希望さんだってこと。
でも…私が好きなのは。
「葉山君…ごめん…私……」
小さく息を吸い込む。
「好きな人が、いるの。」
私を見つめていた葉山君の瞳が、フッっと揺れた。
「………俺が、匿名希望だとしても?」
葉山君の問いに、私はこくんとうなずく。
「……そっか。勝てなかったな。」
「…え?」
葉山君はくしゃりと笑った。
「…なんでもない。でも、遠山さんには好きな人がいるんだよね?」
「う、うん。」
私がうつむいて答えると、葉山君はごめん、と呟いた。