匿名希望さん、こんにちは。
「匿名希望さーーーーーーん!!!」
私はでっかい声で叫んだ。
周りの人がこっちを見るけど、
気にするもんか。
「…おりひめ、さん…?」
ぽつん、と大浦君は私の名前を呼んだ。
…やっぱり、大浦君だったんだ。
匿名希望さんは、大浦君だったんだ。
私は大浦君のもとへ駆け寄る。
「え…?遠山さんが、おりひめさん…?
嘘だろ…?」
わお。ポーカーフェイスの大浦君がめっちゃビックリしてるよ。
私はニッと笑って見せた。
「そうだよ!」
「ま、マジか…」
大浦君は、顔を手で隠した。
「…俺、ずっと悩んでた。」
「え?なんで?」
「俺、おりひめさんのこと好きになっちゃって…、
でも、遠山さんのことも好きになっちゃって…
しかも葉山と好きな人被るし…
遠山さんに告ろうとしたらダッシュされるし…
遠山さんは誰かに告るとか言ってたし…
めっちゃ悩んで…………って、え?」
大浦君は心配そうに私の顔をのぞきこむ。
「…なんで泣いてるの?」
「…え…」
私の頬に、あたたかいしずくが流れ落ちた。