匿名希望さん、こんにちは。
「私の好きな人は、匿名希望さんだよ。
…そして、大浦君だよ。」
私は涙を流しながら笑顔で言った。
「え、……本当に…?」
大浦君も、ビックリしてる。
「私も、匿名希望さんが大浦君だなんて思わなかったけど、
両方好きになっちゃって悩んで…。
もしここに大浦君が来て、匿名希望さんが大浦君だったら、告白しようと思ってたんだ。」
「じゃあ、朝言ってたのって、俺のことだったんだ…」
「うん!」
「ヤキモチ焼いてかっこわりー…」
大浦君はまた顔を手で隠す。
でもばれてるよ。顔が赤いのが。
「…織絵…」
不意に大浦君が私の名前を呼び、抱き締めた。
「……大浦君…?」
「俺、ここで織絵に会えて良かった。
ブログで会えて良かった。
励ましてもらえて良かった。
思えば、織絵もおりひめも、
まっすぐなところ、まったく一緒だ。
…大好きだ。」
大浦君の、まっすぐな思いに私も泣きそうになる。
「私も大好きだよ。」
遠山織絵、16歳。
恋を初めて知りました。