極上ドクターの甘い求愛
『それで?』
「へっ?」
『明日の何時から?どこでするの?』
「いや、詳しくは私も聞いてなくて…。」
突然声色を変えて、明日のお見合いの詳細を聞きたがる先生に首を傾げた。
……何で?
『そっか…。ね、それ分かったら俺に連絡してくれない?』
「え?」
『してくんないと、明日の早朝に繭ちゃん攫ってお見合い台無しにしちゃうけど、それでもいい?』
「それはッ」
それはダメだ。
お母さんはこの縁談、お父さんの上司からのものだって言ってた。それを台無しにしちゃったら、お父さんがやばくなっちゃう。
「……わ、分かりました…。連絡します。」
『絶対だよ?』
「…はい。」
『詳しく、お願いね。』
「……はい。」
どうしてこんなことを聞くのかと問うてみたけど、電話越しの岩崎先生はただ知りたいだけ、としか言ってくれなかった。
『じゃ、明日……頑張ってね。』
「……はい。」
妙に先生の激励に違和感を感じつつも、先生との通話を切る。
……口には出さないけど、もしかして怒ってる…のかな?
やっぱり、先生へのお詫びの品を準備しておこう、と思った私は、すぐさまキッチンへと向かったのだった。