極上ドクターの甘い求愛
「ねぇお母さんー、やっぱりこれ、ちょっと露出高すぎじゃない?スースーするんだけど…あ、お父さん。」
お母さんに言われたとおりにワンピースに着替えた私は、リビングに戻ると、そこには車を停めてきたお父さんがいた。
『久しぶりだな。』
「うん、元気してた?」
『まぁな。急に連絡したと思ったらこんな話を持ち掛けて…ごめんな。』
ちょっと、いやだいぶ気が弱いお父さんのことだから、上司からの縁談話を強く断ることはできなかったんだろう。
平和主義のお父さんは極端に波風立てるのを嫌う人だから。
「ううん。でも、この話上手くいかないと思うけど…その時はごめんね。」
『そんなに固く構えなくて大丈夫さ。会って食事するだけなんだから。』
「まぁそうだけど――」
『あら、繭!やっぱり似合うわね~可愛いわよっ!』
「……ありがとう、お母さん。」
トイレに行っていたのか、戻ってきたお母さんは私たちの会話を遮るなり、馬子にも衣裳という言葉がぴったりの私を褒めちぎってくる。
苦笑いで返していると、化粧もちゃんとしなさいねと催促された。
「…そういえば、お見合いって何時から?どこでするの?」
『あら、意外と繭も乗り気じゃないの!』
「違うよ。何事も心の準備が必要でしょ?」
なーんだー、とつまらなさそうな声をあげるお母さんに隠れて、ふぅと息をこぼす。
お見合いの詳細をお母さんから聞きながら、今の私ができる精一杯のおめかしをした。