極上ドクターの甘い求愛



私の目の前の席の前にやってきた人物を見て、この人が私のお見合い相手か、とチラ見した。

眼鏡をかけてて、少し髭が生えている。高級そうなスーツを身にまとっていて、格好いいというより、ダンディ、という言葉が似合うような男性だった。


『私の息子の健一です。銀座の方で実業家をしてましてね、仕事が忙しいせいか、これまで女の気がなくてもう41になりますの。でもまだ初婚なので、ご安心くださいね。』


……嘘でしょ。41にもなって、初婚?

見た目はダンディなのに?………もしかして、性格上に問題でも?


『そんな心配なんてしておりませんわ。娘の繭も、去年晴れて薬剤師になったのはイイんですけれど、この子も男っ気がないんですよ。健一さんのような大人の男性なら、この子も安心してお付き合いできると思います。』


オホホホ、とお高い笑いを飛ばすお母さんを、隠れて睨みつける。

……何言ってくれてんのよ。お母さんってば。

確かにお母さんの言っていることは的を得ているかもしれないけど、25の私が40過ぎのオジサンと付き合えるわけないでしょう?

眼鏡の奥にある黒い瞳は優しそうに見えるけど。



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