極上ドクターの甘い求愛



落ちたストールを拾えないまま、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた三上さんに物凄い力で腕を掴まれた私は、ずるずると部屋のドアまで引きずられる。

この部屋には出入り口が反対方向に2つあって、三上さんが向かっているのはさっきお母さんたちが出て行ったドアとは反対側のドア。

その先に、私のお母さんもお父さんも、三上さんのお母様もいない。

――つまり、そのドアを通り過ぎたら最後。私は本当に三上さんに襲われてしまう。


「嫌!離して!~~っはなしてください――っっ!」


いくら三上さんに掴まれた腕を振り回しても、その大きな手が離れることはなかった。

その間にも、私とドアの距離はドンドン縮んでいく。


「っ、助けて!誰か――っ」

『うるせぇ、大きな声出すなよ。』

「んーーっ」


せめて外にいるはずのお母さんたちに気づいてもらおうと声を張り上げた瞬間、後ろから伸びてきた三上さんの手で口が塞がれた。

涙で視界がかすむ。

心も体も嫌だと訴えているのに、男の人の力ひとつでこんなにも簡単にねじ伏せられるなんて。


こんな、こんなことなら――ッ

岩崎先生に攫われていたほうがマシだった――…ッ


「んんん!んーっ」


ギィィッという音とともに重い扉が三上さんによって開けられる。

ヤダ、ヤダよ。

こんなところで、こんな人に、私のファーストキスも処女も奪われるなんて。


助けて、岩崎先生――!!


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