極上ドクターの甘い求愛
「私が先生に"助けてください"って言ったんです。先生は、それに応えてくれただけです!それなのに、何でそんな風に言うんですか!?」
『繭ちゃん…。』
「先生がどうしてあの場所にいたのか分からないですけど、どうして私を助けようしてくれたのか分からないですけど、でも、私は先生が来てくれて"嬉しい"って思ったんです!あの時、助けてほしいと思ったのは、先生だけなんです!なのに、何で…っ、"ごめん"なんて言うんですか…!どうして謝罪なんですか…っ!」
私はただ、先生にありがとうを伝えたかっただけなのに。
あの時、ヒーローのように私を助けてくれた先生に、お礼を言おうとしただけなのに。
あの場所から、私の手を掴んで連れ出してくれた先生の横顔が、脳裏に張り付いて離れない。
勝手に私の気持ちを決めつけられたことが悔しくて涙が零れる私を、先生は息を呑んで見つめている。
「っ…助けてくれて、ありがとうございました…!」
精一杯の感謝の気持ちを、頭を下げることで伝える。
あの時先生がいなかったら、私は確実のあの男に犯されてた。女性として、人間として、絶望してた。
それを救ってくれたのは、紛れもなく岩崎先生だから。
たとえあの場所にいたことが偶然でも、お礼の言葉を言わずにはいられない。
「…私、帰りますね。失礼しま――」
『待って、繭ちゃん。』
「っ…!?」
頭を上げて、この後は一人で帰ろうとすると、岩崎先生に腕を掴まれてしまった。