極上ドクターの甘い求愛



『俺があそこにいたのはね、繭ちゃんからのメールを見たからなんだ。』

「え……?」


先生の話に驚いて、先生から離れようと身体を捩るけれど、腰に絡まった逞しい腕の力のせいで叶わない。

先生の顔が見たいのに、できなかった。


『あのホテルには、繭ちゃんの見合い相手がどんな人なんだろうっていうほんの興味本位で行ったんだ。』


私を抱きしめたまま話を続ける先生の声を聞きながら、離れようと先生の腕にあてていた左手をゆっくりと下ろしていく。


『…いや、違うな。繭ちゃんの見合い相手が俺よりも劣っているようなヤツだったら、繭ちゃんを掻っ攫ってやろうと思ってた。』

「……!」

『昨日の夜、しつこくお見合いの詳細を聞いたのも、メールで俺に教えるように言ったのも、そのためなんだ。』


先生から聞かされた話は、私の想像をはるかに超えていて。

あそこに先生がいたのは、ただの偶然だと思ってた。メールの返信もなかったし、見てないんだろうって。

忙しい先生のことだから、私のことなんか忘れて休日を過ごしてるんだろうって……そう、思ってたんだ。だけど、本当は…先生は、私のお見合いのことが気になって来ていただなんて。



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