極上ドクターの甘い求愛
まるで夢物語のようで、簡単には信じられない気持ちだった。
『でも、繭ちゃんの見合い相手が到底太刀打ちできないような立派な人だったら、そのまま帰ろうと思ってた。これは本当だよ?繭ちゃんのことはすごく好きだけど、繭ちゃんの幸せを壊したくはなかったからね。』
「っ……」
だけど、先生が私のために紡いでくれる言葉はとても真っ直ぐで、正直で、あったかくて。
私の幸せを考えてくれていた岩崎先生がすごく素敵に思えてきてしまって。
今まで、誰もが惚れ込んでしまうような笑顔で岩崎先生が言ってくれていた"好き"が、走馬灯のように私の中で駆け巡って行った。
『…ちょうど会場に着いた時、繭ちゃんがあの男に無理矢理連れていかれているところを見て…つい、あんなことしちゃったんだ。』
"あの時、俺が繭ちゃんを守らなきゃって思ったんだよね。"
そう言った先生の声が、鼓膜を通り過ぎて、私の心の奥まで伝って行く。
ふいに腕を掴まれて、ピッタリとくっついていた私と先生の間に小さな距離ができた。
自然と先生の方へ顔を上げると、私を見つめる先生と目が合って、ドキンッと大きく高鳴った。