極上ドクターの甘い求愛
『とても格好イイ方ね~!繭より年上?何をなさっている方なの?いつ知り合ったの?いつから付き合ってるの~?』
「ちょっとお母さん!そんないっぺんに聞いてこないでよ!」
ああもう、どうしよう…っ!?
お母さんの中ではすっかり、私と岩崎先生は交際していることになっているらしく、何度止めても結婚は考えているの?とか、もうすぐ孫の顔が見られるかもしれないのね、なんてことまで言い始める。
「だから、付き合ってないんだってば!」
『あらあら、繭ったらまた恥ずかしがって。いいのよ、お母さんはちゃーんと分かってるから。』
何が分かってるの!?
岩崎先生とは何もない、と言っても、電話越しのお母さんは全然聞き入れてくれない。
そんなお母さんに、付き合ってもいない人がお見合いの乱入なんて大それたことするわけないじゃない、と言われて、私は何も言えなくなってしまった。
その大それたことができちゃうのが岩崎先生なんだってば…。そう言いたくても、今の私と岩崎先生の曖昧な関係をお母さんに話す気にはなれなかった。
岩崎先生に慕っていただいてる、なんて口走ったら、常時脳内がお花畑のお母さんが何を言い出すのか分かったもんじゃない。
「…それより、お母さん。お父さん、今いる?」
『え?いるわよ、どうしたの?』
「ちょっとお父さんに代わってくれない?」
こんな出口の見えない話は早々切り上げて、私はお母さんにお父さんに代わるように頼んだ。